

賃貸物件を退去するときは、どういった手続きをすればいいのでしょうか?

賃貸物件を退去する際は、まず退去希望日の1カ月以上前に大家さんや管理会社に退去の意向を伝える必要があります。その後に退去届を提出して、管理会社などの立ち会いを行い退去が完了です。

そうなのですね。退去前に念入りに掃除をしたほうが良いと聞いたのですが、本当ですか?

日頃から掃除をしている場合、いつも通りに掃除をすれば問題ありません。一方で日頃あまり掃除をしていない場合は、多額の原状回復費用を請求される恐れがあるため、念入りに掃除することをおすすめします。
上記のように初めて賃貸物件を退去する人の中には「退去時の手続き」や「退去時の掃除」について、疑問を抱えている人は少なくありません。
退去時の手続きや掃除をしっかりと行わないと、新居に移った際に二重に家賃が掛かったり多額の原状回復費用を請求されたりと、本来なら支払わなくても良いお金が掛かってしまう可能性があると考えてしまうためです。
では、本当に支払わなくても良いはずのお金が必要になってしまうのでしょうか?
この不安を解決するためには、退去時の手続きや原状回復
このため、退去時の手続きや掃除方法に加えて原状回復費用についても詳細に把握しておくことが重要です。
そのため、この記事では「賃貸物件を退去するときの手順」や「退去するときに掛かる費用」、「退去時の掃除のポイント」について、詳しく解説していきます。
賃貸物件を退去する予定のある方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。
・賃貸物件を退去する際は、退去時の1カ月前に退去の意向を伝える必要がある
・原状回復費用の相場は、一般的に5万円程度請求されるケースが多いが原状回復費用が掛からないケースもある
・退去時の掃除は日頃から掃除している場合は、普段と同じ掃除で問題ない
賃貸物件を退去するときの手順

賃貸物件を退去するときの手順は、以下の6つになります。
- 退去する意向を管理会社や大家に伝える
- 退去届など書類の手続きをする
- 引っ越し日と退去日を連絡する
- 退去前に掃除と引越しの準備する
- 立ち会いをする
- 敷金の精算をする
それぞれについて説明していきます。
退去する意向を管理会社や大家さんに伝える
まず最初に行なうことは、管理会社や大家さんに退去する意向を伝えることです。
物件によって定めている解約予告期間(管理会社や大家さんに退去する意思を伝える期限のこと)は異なりますが、多くは退去時の1カ月前に退去の意向を伝える必要があります。
例えば、退去日を7月末の31日である場合、6月30日までに大家さんに退去する旨を伝えなければなりません。
仮に、6月末日を過ぎてしまってから管理会社や大家さんに退去の意思を伝えてしまうと、7月31日付けで退去に関する解約手続きの処理をしてもらえないことで、次の月の1ヶ月分の家賃を請求されてしまう可能性があります。
このため、退去希望日が決まった段階ですぐに管理会社や大家さんに連絡をすることをおすすめします。
ただし、3月や4月の繁忙期に退去する場合は、引越業者の予約が希望日に取れないことで決めた退去日に引越しが出来なくなる可能性があるため、先に引越業者と契約を締結してから退去する旨を伝えるようにしてください。
退去届など書類の手続きをする
退去の意向を伝えたら、退去届を提出する準備を行います。ちなみに、退去届は一般的に入居時に不動産会社から賃貸借契約書と一緒に渡されることが多いです。
ただし、退去することを管理会社に伝える解約通知書が退去届になっているケースもあるため、どの書類が退去に関する書類なのか確認するようにしてください。
補足ですが、解約通知書を提出する際は、1つ注意する点があります。
それは、管理会社に退去に関する書類が到着した日が、管理会社に退去の意向を伝える退去予告日として受理される可能性があるという点です。
仮に、退去日のちょうど1カ月前に書類を郵送した場合、退去予告日として受理される日が退去日から1カ月未満になってしまう可能性があり、新居と旧居の二重の家賃が発生する事態に陥りかねないため、早めに提出するようにしてください。
引っ越し日と退去日を連絡
引越し日と新居への入居日が決まったら、大家さんや管理会社に連絡を行います。
この際、転勤などの理由で急な引越しではない限りは、二重に家賃が発生しないように入居日と退去日を慎重に決めるのがおすすめです。
なお、引越し日と退去日を伝える際は、管理会社や大家さんなどが退去時の部屋を確認するための立ち会い日を決める必要があります。
基本的に、引越し後に何度も旧居に行くことは手間が掛かるため、引越し日と同じ日を立会い日にするケースが多いです。
退去前に掃除と引越しの準備
退去が決まったら退去前の掃除と引越しの準備を行います。
この際、引越し業者に引っ越しを頼んだ場合は、引越し日の2週間〜3週間前に引っ越し用のダンボールなどが届くため、その段階から引っ越し準備を始めることが多いです。
一方で、掃除に関しては一般的な使い方をしている場合、大掛かりな掃除をする必要はありません。
ただし、仮に日頃から入念に掃除をしていない場合は、キッチンのコンロ油汚れや水回りの掃除などを行なうようにしてください。
ちなみに、大型のごみが出る場合には、早めに粗大ゴミ回収の手配を行うことが重要になります。
直前に手配してしまうと、回収に来てくれる日が退去後になる可能性があるためです。
仮に退去前に回収してもらえなかった場合、管理会社などが用意したクリーニング業者が会社回収してくれますが、自分で捨てるよりも高額になりやすいため、注意する必要があります。
立ち会いをする
引っ越しが終わり、荷物をすべて搬出出来たら、管理会社や大家さんなどの立ち会いを行います。
最近では、退去時のトラブルを防ぐために、第3者である清掃業者に立会いを依頼する大家さんや管理会社も多いです。
この立会いで修繕が必要な場所などを一緒に確認を行いますが、事前に入居時のメモや写真を撮ったキズの場所などの確認をしておくようにしてください。
立会いの際に、入居前にあった傷について、指摘をうける可能性があるためです。
仮にあなたがつけたキズだと判断されると敷金から修繕費を差し引かれて、手元に戻ってくるお金が少なくなる可能性があるため、必ず事前に確認しておくことをおすすめします。
敷金の精算
上記までの手順が全て完了したら、敷金の精算を行います。
この際、立会い時に大きなキズや目立った損傷がない場合、初期費用で支払った敷金の一部が返金される可能性が高いです。
一方で、損傷がある場合は、修繕費となる原状回費を請求されます。
敷金よりも原状回復費が上回ると追加費用を請求される場合もあるため、注意が必要です。
ちなみに、返金される敷金は、一般的に退去届に記載した銀行口座に振り込まれます。
退去するときの費用

退去する際に掛かる主な費用は、原状回復費や粗大ごみの処分費用などが挙げられます。
その中でも、原状回復費用は敷金の返金額に大きく関わってくるため重要です。
このため、原状回復費用のある程度の目安や高額請求された際の対処法を知っておく必要があります。
目安や対処法を知っていれば、不当に請求された場合も損をする心配は不要なためです。
原状回復費用の目安
敷金から原状回復費用として差し引かれる金額の相場は、5万円程度だと言われています。
ただし、一般的な使い方をしている場合は原状回復費用を支払う必要はありません。
経年劣化による汚れなどは、借り主ではなく貸し主に修繕する責任が生じると国土交通省が定めるガイドラインに載っているためです。
タバコによる壁紙の汚れや、不注意でついた壁紙のキズなどがない限りは借り主が原状回復費用を支払う必要はないので覚えておいてください。
ちなみに、原状回復費用がどのくらい掛かるのかについて、立会い時に説明してくれる場合もあるため、気になる方は管理会社などに確認するのもおすすめです。
高額請求されたときの対応
敷金を上回る追加費用を請求された場合、費用の内訳などを確認するようにしてください。
特に、立ち会い時に特にキズなどの指摘もなく高額な追加費用を請求されている場合は、大家さんや管理会社側に何らかの問題がある可能性が高いです。
仮に請求された費用に不審な点がある場合は、先ほど紹介した国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を確認してみてください。
原状回復費用の借り主と貸し主の負担について詳しく記載されているので、請求された費用の正当性を見極めることができます。
退去時に掃除するときのポイント

退去時に原状回復費用を抑えるために行う掃除のポイントは、以下の2つです。
- 掃除を必要か管理会社や清掃業者に確認する
- 掃除するべきポイントを抑えておく
それぞれについて説明します。
掃除が必要か管理会社や清掃業者に確認する
事前に掃除をしておく必要があるのかについて、管理会社に確認を行なってみてください。
事前に掃除が必要か確認することで、掃除をしなくても良いケースもあるためです。
ただし、あまりにも部屋が汚い場合は、大家さんや管理会社などの印象が悪くなることで原状回復費用を請求される可能性(不当ですが)があるため、最低限いつも行なうような掃き掃除などはすることをおすすめします。
掃除をするべきポイント
退去前に掃除をする場合は、以下の場所を重点的に行うようにしてください。
- 床
- 水回り
- 換気扇
- コンロなどの油汚れ
日頃から掃除をしている場合、最低限の掃除を行うだけで問題はありません。
しかし、コンロの油汚れや台所の水垢がひどい状態である場合は、借り主の負担で原状回復費用が掛かる可能性があるため、注意が必要です。
まとめ

賃貸物件を退去する際は、退去時の手続きの手順を把握したうえで引っ越しのスケージュールを決めることが重要になります。
退去日の1カ月前までに退去の意向を管理会社や大家などに伝える必要があるためです。
一方で、退去時の掃除に関しては日頃から掃除をしている場合、特に念入りな掃除をする必要はありません。
ただし、場合によっては多額の原状回復費用を不当に請求してくる大家さんや管理会社も存在するため、注意する必要があります。
そのため、この記事では「賃貸物件を退去するときの手順」や「退去するときに掛かる費用」、「退去時の掃除のポイント」について、詳しく解説してました。
以下、この記事のおさらいです。
・賃貸物件を退去する際は、一般的に退去日の1カ月前までに退去の意向を管理会社や大家さんに伝える必要がある
・経年劣化による汚れなどは、借り主ではなく貸し主に修繕する責任がある
・退去時の掃除は日頃から掃除している場合、念入りな掃除は必要ない
この記事で解説した内容を参考に、賃貸物件を退去する際の参考にしてください。
なお、この記事を書いている「FPアキ」に
興味を持ってくださった方は、プロフィールもみていただけると幸いです。